Funny Story


Story 1

あの日のことを僕はきっと一生忘れることができないだろう。
なぜならそれは僕にとって初めてのいつかのメリークリスマスだったからである。
もう、夏も終わりだ。


Story 2

その多角的視野に基づいた建設的かつ創造性に富んだ貴殿の意見は
貴社の記者が汽車で帰社したという奇想天外なものであった。
これに対し日本政府は
「現在の減田政策は世紀末的側面を持つ一方
日本人が忘れかけていた逃走本能を復活の兆し」
というドラスティックな声明を公表するとともに
内閣総理大臣を指名すると同時に内閣不信任案を提出した。
これに対し内閣総理大臣は
「消費税物品税関税相続税酒税タバコ税」と
記者会見で明らかにするとともに
日本国民の真意を問うためには直接民主制の導入もやむを得ないことを述べた。


Story 3

ある多国籍企業の多角化戦略による多角化経営は功を奏し高収入を得ることと相なった。
これにより高学歴、高身長とともに3高時代の幕開けかと思われたが
実際の所は日本人の日本人による日本人の為の日本人である。
その開幕式に際し内閣総理大臣である平等員法王道 右珠路 氏(52)は
「革命が必要である」とだけ言い残し息をひきとった。


Story 4

原子力発電所で発生した炉心融解は大量の放射能洩れをひき起こした。
また、連鎖反応により世界各地の発電所が封鎖されそうな気がした。
きっと明日も晴れるのだろう。


Story 5

昨日から続いていた雨もようやく峠を越え「手術中」の赤ランプがようやく消えた。
どうやら持病の脳卒中が悪化したらしい。
長かった冬も終りを告げようやく実りの秋を迎える。
お前はまだ麻酔が効いているので目覚めていないが、
麻酔が切れるころにはきっと秋も本格化して冬の足音が聞こえてくるだろう。
窓の外で、雪がちらついているよ。


Story 6

二日前に起こった大事件は更に大きくなり全世界を包み込もうとしている。
その混乱に乗じて更に事件が多発している。
全世界が無法地帯になっているそんな最中、お前だけが冷静だった。
お前は言った。
「冷血になればなるほど血が冷たくなっていき、
残酷になればなるほど残りが酷になっていくだろう。」
実はあまり冷静じゃないみたいだ。


Story 7

昨日から続いている今日は明日になってもまだ今日だろう。
昨日の明日は今日だが日に日に日はまた登るだろう。
日本の明日は元日で吉日だが初日の出は何が初なのだろう。
この先の文章も文末に「だろう」ばかり出てくるだろう。


Story 8

国会内で発覚した汚職事件はお食事券が授受されているというものだった。
この事件に対し議院会舘の清掃員である 左部吏見奈留 無鵜日言 氏(16)は
「いつかきっとこんな日が来ることを夢見て寝ていました。
まだまだ彼らも未熟ですね。睡眠学習ですよ。」と、
とても16歳とは思えない発言を残し、辞表を提出した。
しかし、名前を書き忘れていたので受理されなかった。


Story 9

少しづつ限界が近付いているこの時の中で
またもや乱闘騒ぎ。
殴り合い。
蹴り合い。
つかみ合い。
お見合い。
色々な事が起きているが、変わらないことが一つだけある。
それはきっと二日後に変えられてしまうだろう。


Story 10

達筆のお前の走り書きより速く走りつづけた俺はもう疲れてしまった。
あとはお前が書いてくれ。


Story 11

その超巨大化されたミジンコは街を練り歩いていた。
やがてサンシャインビルの前に立ち止まるとこう言った。
「これってサンシャインビル何杯ぶん?」
そこにいた人々は口々に
「東京ドーム12杯ぶんだよ」と
叫んでいた。
にぎやかだった街が一瞬にして静まりかえっていった。